Greensheetは、フュージョン・ワールドワイド(Fusion Worldwide)が毎月発行する電子部品サプライチェーン全体の重要な動向をハイライトする市場レポートです。 7月号では、CPU、GPU、IC、受動部品など複数の製品カテゴリーにわたる関税のボラティリティとその影響にスポットライトを当てています。また、現在進行中の貿易摩擦、半導体生産のシフト、中国の政策変更による市場の混乱に対する顧客とサプライヤーの反応についても検証しています。サプライチェーンのダイナミクス、価格圧力、製造投資などのより広範な洞察により、2025年のグローバルソーシング戦略がどのように進化していくかについての将来的な見通しを提供します。
本レポートは、弊社の情報源から収集された市場情報に基づいて作成されています。
製品の最新動向
集積回路:市場動向と供給の変化
- 中国威海市にある組立工場ATXで火災事故が発生しました。この工場は東芝やTexas Instrumentsなど複数の大手ICメーカーをサポートしています。東芝製品、特にMOSFETのオープン市場では若干の価格変動が観測されています。
ネットワークカード:長引く品不足とサポート終了(EOL)のお知らせ
- MellanoxのCX7シリーズNICカードは、イラン・イスラエル紛争による原材料不足の影響で納期遅延が発生しており、リードタイムは2025年9月から11月に変更されました。
CPU(中央処理装置):価格の変動と割り当ての課題
FGs:需要の高いJetsonシリーズ
GPU(画像処理装置):戦略的割り当てと市場のボラティリティ
- ハイエンドデータセンターGPUの需要が急増しています。
- A100 80GBの供給は枯渇しています。
- H100 80GBと94GBモデルはサポート終了(EOL)となっており、在庫が限られています。H100 94GBのリードタイムは4~6週間です。
- A100 80GBのEOLをめぐっては、品質への懸念と取引の活発化が続いています。
- NVIDIA Blackwell 4000/5000シリーズのリードタイムは予想よりも長くなっており、一般発売は8月以降になる見込みです。
DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)/メモリモジュール:ボトルネックとDDR5への移行
- DDR4市場は依然として極めて逼迫しており、リードタイムは2026年初頭まで延長され、スポット価格はさらに10%上昇しています。
- DDR4の供給不足はDDR5への移行を加速させており、DDR5は密度に応じて1~7%の価格上昇と、より安定した価格を維持してます。
- Samsungは、第3四半期に大きな在庫を放出する見込みはなく、LPDDR4/4Xの供給は、EOLといった状態と継続的な需要により大幅に制限されると予想されます。
- Hynixは、7月15日から25日の間に価格調整を行うと予想されています。供給は依然として限られています。
RDIMM(サーバー・ワークステーション用メモリ):需要の再調整と価格圧力
- SamsungのRDIMMの直販価格は20~30%上昇すると予想されます。
- Kingstonは、DDR4デスクトップ用DIMMの価格を35%値上げしました。
- DDR4 RDIMMの需要は供給が逼迫する中、依然として高い水準を維持しています。16/32/64GBモジュールの価格は引き続き上昇しています。
- UDIMMの需要はゲーム分野で増加していますが、標準的なデスクトップの需要は安定しています。
SSD(ソリッドステートドライブ):供給の制約と価格の上昇
- 低容量のエンタープライズSSDの供給は依然として制限されています。
- SSDメーカー各社は、さまざまな密度のSSDにおいて、四半期ごとに価格を5~8%引き上げています。
HDD(ハードディスクドライブ):容量の移行とリードタイムの延長
- AIやクラウド用途の18TB+ HDDへの移行により、16TB以下の容量のHDDが不足しています。
- 2~8TBモデルのリードタイムは現在20週間を超えています。
- Western Digitalは、すべての大容量HDD(20~26TB)の供給が逼迫しており、価格が過去1か月で10%上昇していることを確認しています。
受動部品:リードタイムの延長と割り当て
- Yageoの抵抗器と太陽/村田のコンデンサのリードタイムがすでに延長されています。
- Samsung受動部品のリードタイムは、従来の8~12週間から14~18週間に延長されました。完全な供給不足は宣言されていませんが、制約は高まっています。
サプライチェーンの動向
- 生成AIとチップのカスタマイズ:AIブームにより、パフォーマンスが最適化されたチップの需要を加速させ、ASIC、ドメイン特化型のGPUに対して、OEMや通信会社による社内設計への投資が増加しています。
- スマートマニュファクチャリングの導入:AI駆動の予測メンテナンスやデジタルツインといったインダストリー4.0ツールは、ウェハファブをデータ中心の環境へと変革しています。
- 半導体の主権とリショアリング:世界的なリショアリングと政府支援による半導体イニシアチブにより、持続可能性と欠陥ゼロの生産を中心にサプライチェーンを再構築しています。
- ムーアの法則を超えるイノベーション:現在、材料科学とヘテロジニアスインテグレーション、つまり3Dパッケージング、チップレット、SiC/GaNの導入、そして新興の量子技術やニューロモルフィック技術に焦点が当てられています。
メーカーニュースと最新情報
- Intel:大規模な組織再編を進めているIntelは、業績評価、コスト削減、戦略転換を背景に、Intel Foundry部門の従業員の15~20%(1万人以上)を削減する計画です。CEOのLip-Bu Tan氏は、Intelがもはや半導体企業トップ10に名を連ねていないことを認めました。TOIの記事
- NVIDIA:CEOのJensen Huang氏はワシントンD.C.と北京でAIのプロモーションを行い、NVIDIAが中国でのH20 GPU販売再開の申請を提出し、デジタルツインアプリケーション向けに完全準拠のRTX PRO GPUを発売することを確認しました。NVIDIAブログ
- SK Hynix:InfinitesimaのAFM計測技術をHBM4Eの積層技術に統合し、16層ハイブリッドボンディングによる高歩留まりを実現しています。Hynixは、COMPUTEX Taipei 2025で12層HBM4およびHBM3Eのソリューションを展示しました。Bits & Chipsの記事
- Infineon:300mmウェハでのGaN製造を推進しており、最初のサンプルは2025年第4四半期に予定されており、GaN分野におけるIDMのリーダーシップを強化します。Infineonプレスリリース
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