グリーンシートは、集積回路、中央処理装置、ハードウェア商品のサプライチェーン全体にわたる最も重要な発展に関するフュージョン・ワールドワイドの月次マーケット・インテリジェンスレポートです。最新のレポートからいくつかの重要なポイントを紹介します:
電子部品業界が2024年に向けて動き出す中、特にSSDとHDD向け部品の価格変動が、年明けの主な話題となりそうです。多くの製造業者が慎重な見通しを維持している中、コンピューティングや通信などの業界が長期にわたる過剰供給期間からの脱却を望んでいることから、第1四半期の動向は依然として不透明です。
市場の動きについては、以下のレポート全文をご一読ください。
IGBTは供給過剰が市場に影響するも供給不足が継続
先月、Infineonは特定の高電圧MOSFETの供給制限に直面し、納期が延長しました。一方、低電圧用MOSFETについては、消費者市場での需要減退により製造業者が過剰在庫を管理するようなったため、供給は着実に改善しています。こうした需要動向を受け、Infineonは高電圧MOSFETの生産をより適切にサポートするために生産能力を調整することができ、現在、供給は安定しています。
在庫調整が予想以上に長期化したため、電源管理用ICも同様の傾向にあり、リードタイムが短縮しています。
さらに、IGBT製品のリードタイムは、2023年末の数か月間にわたる継続的な変動を受け、長くなっています。製造能力の問題がこのような変動の原因であり、市場価格の上昇という付随的な問題も及ぼしました。
Analog DevicesとLatticeが2024年の価格改定を発表
Analog Devicesは、20年以上前のシリーズに属するMPNについて、値上げを実施する計画を発表しました。値上げは20%で、一部の製品はさらに値上げとなる可能性があるものの、詳細はまだ決定していません。
しかし、価格調整の主な対象は、ほとんどの用途でアンプを使用する共通部品になる可能性が高いと思われます。これらの製品の用途は特殊なため代替品は限られており、他の部品を特定して実装できない場合、顧客の支出はより高額となる可能性が高いと思われます。
Latticeはまた、2024年に開始される予定である市場長寿製品の7.5%の値上げについて、末端顧客に対して徐々に通知し始めました。この発表は、少なくとも10年以上出荷されてきたすべての製品に当てはまります。これには、Silicon ImageシリーズのSIxxxシリーズと、Lattice 4000シリーズが含まれます。
価格改定は1月29日に実施され、同日以降の出荷分が影響を受ける可能性があります。
デスクトップとノートPCの需要が高まる一方でPCの取引は安定
パーソナルコンピューティング用CPUのオープン市場での動きはここ数週間は安定しており、目立った取引はありませんでした。複数のTier 1顧客からは、デスクトップとノートPCのCPU (主にi5とi7シリーズ) について、Intel第12世代Alder Lakeと第13世代Raptor Lakeの在庫状況の問い合わせがありました。
市場情報によると、これらのシリーズに供給上の問題はないとのことですが、潜在的な供給ギャップに備え、顧客は待機態勢に入っています。供給問題のきっかけとなるのは、12月中旬にノートPC向けCPUとして正式に発売された、新しいMeteor Lakeシリーズへの移行期間と思われますが、デスクトップ向けCPUの発売日はまだ開示されていません。全体的な需要は安定しており、需要が上向く兆候は見られないものの、サプライヤが原因となる潜在的な不足に対する憶測は根強いものがあります。
全体としては、AMDのノートPCとデスクトップPCの需要は、数か月前に比べてわずかに減少しています。AMD 7030シリーズのノートPC向けCPUの需要が急増した一方で、12月にAMDから割り当てを受けた顧客も多く、正規ディストリビューターは第1四半期の需要は低調に推移すると予測しています。その結果、製造業者は現在の需要見通しとのバランスをより安定させるために、減産を行っています。
サーバ市場の需要は堅調に推移も顧客は供給問題に直面
サーバ向けCPU市場では、ここ数週間、IntelとAMDの両方で需要が堅調に推移してきました。また、顧客が供給面で問題を抱えているという報告は増加しており、IntelがサーバCPUの特別価格を廃止した影響も市場の需要に影響を与えました。
生産終了となったのは、Cascade LakeおよびCascade Lake Refreshシリーズなど特に需要の高い製品であり、現在は供給が制限されています。最も影響を受けた製品は、SilverおよびGoldシリーズです。また、第3世代Ice Lakeシリーズも需要が増加していますが、これは特別価格の廃止によるものです。
正規ディストリビューターは、リードタイムが延長し、割り当てが不透明であるため、予測や注文に対して保守的な姿勢を取っています。第1四半期半ばには供給が回復するとの見方もありますが、 Sapphire Rapidシリーズについては6400、8000シリーズを中心に需要が緩やかに増加しています。しかし、まだ供給問題の報告はありません。Emerald Rapidsも12月中旬に発売されたものの、需要全体が具体化するのは第1四半期になってからと思われます。
AMDではMilanとGenoaシリーズの人気が継続
AMDが最適な在庫管理のために減産を行うという噂が流れた後も、MilanとGenoaシリーズについては、コスト削減がオープン市場における取引の主な原動力となっています。しかし、AIの普及によりサーバ全体のCPU需要は着実に増加すると予想されるものの、供給が減少する可能性があるため、この傾向は変化する可能性があります。
第1四半期のSSD割り当ては価格上昇に伴いすべての製造業者で不透明
製造業者からの割り当て状況は毎週のように更新されており、不透明な状況です。また、各企業は需要の増加に対して生産能力を合わせることに苦慮しています。現在、割り当ては顧客の予測の10%から20%しか満たしていない状況です。このような状況は、需要と供給の不均衡を拡大させました。
NVMeシリーズは、引き続き最も供給制限が大きくなっています。SATAシリーズもまた、製造業者がNVMeシリーズへの対応に軸足を移した結果、影響を受けてきました。大量供給は、全シリーズで最も追いついていない状況です。
その結果、前四半期から価格が15%から20%上昇したため、この傾向は全製造業者の価格に影響を及ぼしました。価格は毎週上昇し続けており、顧客は可能な限り出費を抑えるために、費用対効果の高い代替製品を積極的に求めています。その結果、生産終了のシリーズや旧モデルの価格が全般的に安くなり、需要が高まっています。
第1四半期はHDD価格が上昇、第2四半期に追加調整
HDD製造業者は、OEM顧客やディストリビューターに対し、現行の全シリーズに影響を与えるであろう予定価格についての告知を開始しました。2024年第1四半期から実施される値上げは、10%から15%と見込まれています。また、第2四半期にも追加調整を実施する予定です。
さらに、ベンダーは顧客の需要予測が拡大し始めたという情報を共有しました。しかし、製造業者は、HDDの市場価格が採算の取れる水準に達するまでは、原材料供給元への発注量を拡大する予定はありません。この状況がどう転ぶかにもよるものの、製造が需要に追いつかない場合、最終的に供給が多大な打撃を受ける可能性があります
メモリモジュールの需要と取引が急増
メモリモジュールの公式価格は、この数か月間で連続的に上昇してきました。この傾向は、前四半期に比べて需要と取引が大幅に増加したことによるものです。
製造業者はDDR4モジュールの減産を続けているため、価格は据え置かれました。このため、顧客は特にD4モジュールについて、価格変動の傾向や新年の供給制限の可能性を回避するために、緩衝在庫を確保しようとしています。
Nvidiaが米国の新たな規制に反応
米国の輸出規制に関する最新の規制は、年末に施行されました。規制が強化されたことで顧客が在庫確保に躍起になり、オープン市場での価格は急騰しました。RTX 4090の価格は20%から30%上昇し、Nvidia Quadroシリーズも同様の上昇となりました。
Nvidiaは今回の規制で最も大打撃を受けた企業のひとつで、高性能のAD102ベースのグラフィックカードを中国に出荷できなくなりました。同社が規制遵守のために米国政府と協力することに変わりはないものの、中国を拠点とする顧客に対応することも望んでいます。
Nvidiaは、この規制に対応するため、プロフェッショナル向けグラフィックカードの最新バージョンであるR535 U9ドライバのリストに、RTX 5880 Ada Generationグラフィックカードを追加しました。RTX 5880 AdaとRTX 6000 Adaの類似性は、Nvidiaがこの製品を中国市場向けに調整したことを示しています。