グリーンシートとは、Fusion Worldwideのマンスリーマーケットレポートであり、ICやCPU、ハードウェア商材のサプライチェーン全体の動向をまとめています。最新レポートからいくつか重要なポイントを紹介致します:
大手企業が最先端技術をサポートするために製造をシフトする中、電子部品業界は波乱の四半期を迎える可能性があります。ハードウェアとCPUの市場ニーズの変動は、暗号通貨業界の予期せぬ動向と相まって、サプライチェーン予測の不安定さを示しています。
市場動向については、以下のレポート全文をご一読ください。
供給改善によりPC用メモリモジュールの価格が下落
3月以降、取引が鈍化しており、ベンダーは過剰在庫を削減するために追加供給を行っています。入手しやすくなった結果、メモリハードウェアの価格は2%から3%下落しています。
供給過剰は市場にとって継続的な懸念材料であり、モジュール価格は今後数か月でさらに下落する可能性があります。PCモジュールの価格は、製品需要環境の予測が横ばいのため、低水準のままとなる見込みです。
需要と供給の制約の高まりがDDR価格の高騰に拍車をかける
D4の生産削減により、エンドユーザーはD5への移行を余儀なくされ、D5の需要が拡大しています。そのため、メーカーはD5コストを四半期内に5%から10%引き上げる可能性が高く、DDR3は少なくとも10%の値上げが予想されます。
NANYA Technology製品の価格はすで急騰しており、DDR3 1Gおよび2Gの価格は過去2四半期で50%上昇しています。AIは、この分野の顧客からの需要が依然として高いことから、このトレンドを牽引しています。先日SK HynixとSamsungは、HBM製品に集中するためにDDR3の生産停止を発表しました。Micronなどの大手ブランドがこの傾向に追随するようになれば、NANYAをはじめとする企業は自社製品に対する需要拡大に期待できます。
Samsungは在庫の大部分を出し惜しみしているとも報じられており、供給状況はさらに厳しくなると思われます。DDR3とDDR4の需要が引き続き急増する中、品薄状態が続くと、今後2四半期以内に再び価格が高騰する可能性が高いと思われます。
DRAMとNANDの割当が難航する中、顧客は代替品を求める
一部のメーカーによる20%の値上げを受け、チップレベルのメモリ、特にDRAMとNANDの価格が上昇し続けています。顧客は、DRAMとNANDの供給が確実に割り当てられるのは、6か月先となることを考慮しなければならないでしょう。この業界は非常に変動しやすいため、長期的な予測は困難です。その結果、顧客は市場に頼って供給を確保しようとしています。
DRAMの場合、予約価格は高額ですが、供給が安定しているため市場価格は安定しています。しかし、SK Hynixのような大手メモリメーカーが値上げを計画しているため、今月は需要と在庫が変動すると思われます。
需要が低迷する中、メーカーは値上げを継続
メーカーがハードウェア部品の価格を引き上げたため、旧正月明け以降、需要は比較的低調に推移しています。エンドユーザーからは、需要の低い部品の供給は安定しているとの報告があります。ただし、7.6T以上の大容量SSDの割り当ては限られています。
メーカーは、第3四半期 (4月から6月) にさらに15%から20%の値上げを計画しています。これまでは需要にはばらつきがあったものの、メーカーは今年下半期の予測に基づいて価格を引き上げる形です。予測によれば、クラウドサービス業界のサービスに対する需要は堅調です。
HDDメーカーも価格調整を実施しようとしているものの、今回は5%から7%の範囲になる見込みです。大容量SASドライブの価格は、約2%上昇しました。現在、生産が需要を満たすことができていないため、予約リードタイムが延びています。
暗号通貨需要がGPU供給に影響
需要の増加とGPUチップセットの供給不足により、一部のGPUシリーズのリードタイムが延長されました。AI関連の取引が需要を押し上げていますが、暗号通貨市場が上向きに推移していることがGPUの制約につながっています。
暗号通貨の顧客は現在、より高いハッシュレートとメモリを備えたモデルに集中しています。現在マイニングで主に使用されているカードという理由で、最も需要があるのは3090/4090モデルです。供給が逼迫し、部品の入手がますます困難になる中、企業は4080/4070 TiとSuperに目を向けるようになると思われます。この傾向が続けば、RTX A5000 ADAのようなワークステーション向けGPUが、需要の波の次のターゲットになるでしょう。
新製品が市場に出回れば、入手しやすさはさらに変化するでしょう。NVIDIAは最近、同社の年次GTCカンファレンスで、最新のGPUシリーズおよびモデルを発表しました。NVIDIAは、まだ正確な発売日を発表していません。
Intel PC市場はコスト削減に焦点、修理注文とゲーミングCPUに注目
特にIntelのモバイルおよびデスクトップの顧客の間で、値下げに対する需要が高まっています。市場在庫が増加したことで、顧客は価格交渉の機会を利用しています。
スポット需要は、主に顧客からの修理注文によるものです。この傾向は、第11世代Tiger LakeモバイルCPU等の旧シリーズの需要を増加させました。そのため、新しいシリーズに比べて供給量が限られています。最もよく取引されているのは、Core i3、i5、i7シリーズの非IPUシリーズです。
第12世代Alder LakeゲーミングモバイルCPUであるi5-12450H/SRMAQは、コスト効率が良く、優れたパフォーマンスを発揮する注目の製品です。この人気の高まりは今後数か月にわたる可能性が高く、Intel製品の売れ行きに対して楽観的な見方が広がっています。
第12世代と第13世代のモバイルデスクトップCPUをめぐる動きは、取引は最小限にとどまるものの、堅調に推移してきました。顧客は、どの製品を選ぶかを検討し続けています。第14世代Gen Meteor Lakeシリーズの需要は、低調に推移しています。
Intelサーバ市場の供給は四半期末に向けて改善
Intelは最近、第2世代Cascade LakeおよびCascade Lake Refreshのような人気製品について、さらなる割り当てを発表しました。第3世代Ice Lakeシリーズの供給も安定しており、Intelが市場の需要に応えることに関する信頼度を高めています。
しかし、供給が安定しているにもかかわらず、第5世代Emerald Rapidsの市場採用率は鈍いまま推移してきました。ベンダーの予測は保守的ですが、需要は下半期に増加すると予測しています。
暗号通貨マイナーがAMD製品の需要を拡大
Advanced Micro Devices (AMD) 製Ryzen 9 7950Xプロセッサへの需要が、顕著に高まってきました。これは、暗号通貨マイナーが高性能CPUを調達したことによるものです。マイニング業界も、AMDのRomeシリーズの需要を高めてきました。マイニング業界以外の顧客は、現在の市場価格ではAMDのCPUへの投資に消極的です。
一方、Milanシリーズの需要はごくわずかです。スポット需要が発生している数少ないモデルは、EPYC 7713、EPYC 7643、EPYC 7513、EPYC 7543です。
AMDのサーバCPU需要の大部分は、Genoaシリーズに集中しています。このシリーズは、ハイパフォーマンス・コンピューティング (HPC) およびAI関連デバイス向けの高性能サーバ用CPUを搭載しています。最も需要の高いプロセッサは、AI向けに応用できるEPYC 9684XとEPYC 9384Xです。
Analog Devicesが一時停止していた出荷を再開
Analog Devicesは、3月15日から3月24日までの出荷遅延を発表しました。既存注文分にも遅延が発生したものの、その影響の程度は倉庫の場所によって異なりました。同社によれば、遅延期間は終了したものの、取引率が100%に戻るには4週間かかる見込みです。
この出荷停止は、Maxim Integrated ProductsとAnalog Devicesの事業統合によるものです。Analog Devicesは3年以上前にMaximを買収しましたが、Analog Devicesのデータベースへの移行は、当初予想よりも時間を要しました。
オMCUの価格とリードタイムの変動がNXPの顧客に影響
オンセミのリードタイムは不安定であり、ほとんどの部品で50週間を超えています。イメージセンサ、MOSFET、トランジスタについては、供給が最も制約されているため、リードタイムが最も長くなっています。車載部品は最も需要があり、拡大を続けています。
この問題に対処するため、製造業者は、消費者向け製品や利益率の低い製品の減産を行うよう製造戦略を変更しつつあります。さらに、需要の増大に対応するため、車載業界や産業開発への支援も強化されています。