Global Electronic Component Supply Chain Resources

THE GREENSHEET 2023 年 5 月号

作成者: Fusion Worldwide - JP|2023/05/03 13:48:34
 

Greensheetは、サプライチェーンとオープン市場に影響を与える案件に関する、Fusion Worldwideの月次トレンドレポートです。半導体、完成品、ハードウェア部品については下記5月のレポートをご参照ください。 

  • 自動車やEVの需要でMLCCの受注が増加し、MCUの生産が飛躍的な伸びを見せています。 
  • IntelAMDのナンバーワン製品は依然として、Cascade Lake、Cascade Lake Refresh、そしてMilanシリーズとRomeシリーズです。 
  • 他メーカーは供給過剰に対処するために減産を維持している一方、SSDHDDの市場回復に沿ったSK Hynixの戦略はより適切なものとなるでしょう。 
  • 顧客はDDR4からDDR5への移行を進めているため、DDR5不足が継続的な影響を及ぼす懸念があります
  • IntelData Center Solutions Groupを離脱し、サーバ事業に終止符を打ちます。  

全体として、自動車、航空宇宙、防衛の各分野で大きな需要が見られます。消費者業界のビジネスは低迷しているものの、回復の兆しは見えています。詳しくは、以下のレポートの全文をご一読ください。

 

 

 

IC

需給バランスのとれたメーカー戦略が軌道に乗る 

供給過剰と需要不足のため、メーカーは在庫圧力の調整を期待して昨年末に減産を行いました。この戦略により、需給バランスが安定したバーティカル (垂直型ビジネスモデルのこと) もあれば、改善が待たれるバーティカルもあります。しかし、自動車、航空宇宙、防衛分野の顧客は、依然としてアロケーションの確保に苦労しています。一方、ノートパソコンやスマートフォンなどのコンシューマ向け製品については、出荷台数の低迷が続いています。  

しかし、Quanta Computer、Compal Electronics、Wistron、Inventecなど、台湾のODM3月売上実績は、ノートパソコンの需要が当初の予想を上回ったことを示しました。市況から判断して、メーカーは、チャネル需要の増加を待ち、2023年第2四半期に減産戦略を撤回する可能性が高いと考えられます。 

 

電気自動車の世界シェアは勢いを維持 

自動車市場は堅調な成長傾向が続いてきましたが、メーカーは業界のニーズに合わせて生産の軸足を巧みに変化させてきました。予測では、2024年は半導体市場が回復し、半導体不足が緩和または終息する年になる可能性が高いと見込まれています。 

さらに、内燃機関自動車からの移行が進むにつれ、EV市場の盛り上がりがさらに大きくなっています。この需要増の影響を受けた重要な部品の一つが、車両搭載のさまざまな機能を制御するMCUです。MCUは、EVの充電器業界にも欠かせない存在です。 

一部のメーカーは、需要増へ対応するために、マイクロコントローラの生産レートを週あたり数百万台、場合によっては1日あたり数百万台まで引き上げました。 

 

自動車産業の成長が受動部品の活性化を牽引 

受動部品はここ数年低迷していましたが、自動車向けを中心に需要は順調に成長を続けてきました。自動車産業はMLCCの主要ユーザの一つに数えられますが、市場の活性化により、メーカー各社は契約価格の見直しや再検討を進めています。予測では、需給バランスが健全化した現在、第2四半期に価格の上乗せがあると見込まれています。 

一般的に、MLCCのリードタイムは8週間から10週間程度です。1210(3225形状)1216(3216形状)のような大きなケースサイズのリードタイムは16週間から20週間とやや長く、自動車用グレードの部品は、アロケーションの対象となっています。全体的に見て、CGAシリーズを筆頭に、TDKMLCCが最も需要の高い部品であるようです。

 

 

 

CPU

CPUの余剰在庫がオープンマーケットに出回る 

CPUの余剰在庫が、オープンマーケットへ流入を続けてきました。これはCPUの供給を求める顧客にとっては良い兆候ですが、コスト削減がこの市場の需要を牽引する主な要因です。多くのメーカーが、需給の循環的な性質により下半期に需要が高まるだろうとの予測を示しています。  

しかし、市場の動きは僅かな改善に留まっています。3月中旬以降、Intelのサーバおよびイーサネット用チップセットの取引が増加してきましたが、需要は主にサーバ用チップセットのC621C621A、およびイーサネット用チップセットのi211ATi350-AM4に集中しています。i210ATの在庫はオープンマーケットで最も多いのですが、価格高騰により顧客は依然として在庫に手を出すことができていません。 

 

IntelAMDでは旧製品が高い人気を維持 

IntelSapphire RapidsAMDGenoaなど、サーバ用CPUの問い合わせが増加しています。両CPUの採用増加に大きな影響を与えたのは、AI業界です。しかし、顧客は供給差を埋めようとするのではなく、コスト削減のための価格チェックを主に行っています。オープンマーケットにおいては特別価格による提供は限られており、多くはダイレクトプライシング (予測で価格を変動すること) による提供であり、平均予約リードタイムは2週間から4週間程度です。サプライヤが緩衝在庫を確保するという予防策を講じないため、オープンマーケットの在庫が需要を上回っています。 

全体的に見ると、Intelの最上位顧客よりもサーバ購入者の方がIce Lakeに関心を示しているようです。Ice Lakeシリーズは現在、需要の60%から70%程度を占めており、その中でも特に需要が高いのは、Cascade Lake RefreshCascade Lakeなどの旧製品です。AMDについては、顧客は主に、MilanシリーズやRomeシリーズなどを現在も使用しています。 

需要に伴い、現在、Ice LakeサーバCPUの在庫不足が発生しています。その中でも特に、Platinum 8358、Gold 6342、6326、Silver 4314、および4310が、特に在庫不足となってしまっています。需給の不均衡は、プロジェクトが進行中の大口顧客が、Intelから割り当て可能な製品の大半を消費しているためと思われます。 

これらの製品を除けば、IntelAMDのサーバCPUの価格は、需要が堅調である限りほとんどが交渉可能です。今のところはこの状態が続いているものの、ChatGPTやその他のAIサービスを取り巻く関心が、サーバCPU市場にさらなる負担をかける可能性があります。需要が安定した場合、価格とリードタイムが変わる可能性があります。 

 

デスクトップおよびモバイル向けCPUの価格は下落傾向が続く 

需要が比較的低調であったため、3月中旬から下旬にかけて、オープンマーケットでの取引は活発ではありませんでした。顧客は主に、Intelの第12世代Alder Lake CPUに関心を寄せています。その結果、第12世代Alder Lakeの市場における取引が低迷し、供給が安定していることが顧客に知られているため、目標購入価格が低下しました。特に、前世代の第11世代Tiger Lake Mobile CPU、特にi5シリーズは、3月と比較して5%から6%の価格低下が見られます。 

価格が透明化され、デスクトップおよびモバイルCPUの顧客からの利益が低下したことをよそに、多くのベンダーは、多くの在庫を抱えたりさらに値引きするなどにより損失を被ることを嫌っています。さらに、販売店は無駄のない在庫管理に力を入れています。バック・トゥ・バック・サポートにこだわる販売店は、その好みに応じてくれるベンダーを見つけるのに苦労しています。 

 

 

 

ハードウェア 

健全な供給と需要の低迷が重なりSSDHDDの市場が低迷 

ストレージ市場の需要は、SSD、HDDともに減少傾向が続いています。特にSSDの供給は、どのブランドでも非常に安定しています。現在、ベンダーは大量仕入れを躊躇しており、顧客のスポット需要対応にはメーカーからの部品調達が主流となっています。 

MarvellSeagateなどの企業は、市場の供給過剰に対処するために昨年末から減産や人員削減を実施してきたものの、これらは長期戦の戦略であり、実を結ぶにはまだ数ヶ月を要すると思われます。興味深いことに、最近、SK Hynixは今後の追加人員削減を行わないことを表明しており、そのことが下半期の市場回復予測が検証されつつあることを浮き彫りにしています。 

EOLニュースによれば、IntelSSDシリーズS4510S4610の最終注文を出荷たとのことです。これは、通常であれば価格を上昇させるところですが、顧客はすでに代替シリーズを導入済みです。IntelSSD事業を引き継いだSolidigm社は、生産中止となったIntelSSDのカスタマーサポートのオプションを提供していますが、需要は多くありません。予測では、この需要動向が続けば、S4510を中心に市場価格の下落が続くとされています。 

 

SamsungSK Hynixの価格変動でDDR5の不足が続く 

高密度モジュールは、長いリードタイムとオープンマーケットでの価格高騰のために不足が続いています。ベンダーは、DDR5の需要が徐々に増加していることを周知済みであり、AIサーバを構築する顧客にとって望ましい容量であることから、128GBDDR5に集中しているようです。これらに対する関心は高くないものの、DDR5の供給については入手の問題が報告されており、懸念されるところです。この問題は、歩留まり率が低く、生産性が低いことに起因しています。 

顧客がDDR4からDDR5へ徐々に移行しているようなので、在庫不足は2024年まで続く可能性があります。この移行は、DDR5の性能向上、大容量への対応、電力効率の改善によるものと思われます。  

DDR5の品不足が影響しているにもかかわらず、Samsungは、第1四半期の営業利益が脅威の95.8%の落ち込みを見せたことを受け、47日に新たな減産を発表しました。この発表と、中国がMicronに対するセキュリティ調査を開始したことで、メモリ市場全体が様々な反応を見せています。その後、SamsungSK Hynixのモジュール価格下落は鈍化してきています。ベンダーは、これがメモリ市場の需要回復の兆しであることを期待しています。 

 

AIによりGPU、スイッチ、NICカードの受注が急増 

NVIDIA GPUの需要は急増を続けており、その中でもTeslaシリーズとQuadroシリーズに大きく集中しています。これらは、Teslaシリーズの高性能なコンピューティング能力とQuadroシリーズの多くのプロフェッショナル向けグラフィックスアプリケーションのために、市場で最も求められているシリーズであると考えられます。 

需要の高まりにより、両製品とも少なくとも5%から7%の価格高騰を招いています。価格が最も高騰したのはTeslaA100H100で、これは主にChatGPTのようなAIサービスが、ディープラーニング、自然言語処理、コンピュータビジョン用にこれらの部品を好んだためです。A100H100はいずれも、米国が昨年実施した輸出規制の影響を受けました。NVIDIAは、回避策として機能を縮小した代替バージョンを作成しました。 

また、QuadroシリーズA5000、A6000の価格も上昇しました。予約のリードタイムも同様に拡大し、少なくとも8週間から10週間程度に延びました。 

スイッチやNICカードも、ChatGPTの影響により需要が増加傾向にあり、AI人気の影響を受けました。この理由により、ベンダーはMellanoxのほとんどの製品について、これまでの特別価格を撤廃しました。その結果、価格は15%上昇し、標準的な予約リードタイムは最短で8週間から10週間に延びました。 

 

Intelがサーバ事業から撤退 

インテルの継続的な戦略下、同社はサーバ事業をMiTACに売却し、Data Center Solutions Group (DSG) から撤退しました。この1年間、この戦術はOptane MemorySSDなどの非中核センター事業の削減を伴うものでした。今のところ、Intelのサーバの標準的な予約リードタイムは、同社における通常通りの期間となっています。