Global Electronic Component Supply Chain Resources

THE GREENSHEET 2023 年 10 月号

作成者: Fusion Worldwide - JP|2023/10/10 16:12:59
 

リーンシートは、オープンマーケットのサプライチェーンに影響を与えるトレンドに関する、Fusion Worldwideの月次レポートです。最新のレポートでは、集積回路、CPU、メモリ、GPU、ネットワーク製品業界に影響を与える需要と供給の変化について詳しく説明しています。 

  • IC市場では、産業用、EV、太陽光発電向けの需要が減退し始めており、供給レベルに変化が生じています。一方、自動車需要は依然として強く、リードタイムは延長されたままです。 
  • CPUのセグメントでは、需要が供給力を上回っているため、特定の中位コア数のMPNとエントリーレベルのサーバおよびワークステーションシリーズは納期が予測不可能になっています。 
  • HDDSSDのリードタイム遅延と価格上昇に伴い、ストレージ市場の需要は回復を続けています。 

一部の業界で需要の落ち込みが見られているため、IC製造業者では在庫過多になり始めています。その一方、車載部品は供給制限を免れられない。PCおよびサーバ市場のビジネスは依然として鈍く、年末まで回復しない可能性があります。一方、ストレージ市場では需要が回復しており、ネットワーク製品の制限により供給不足が続くため、激しい競争が発生しています。 

市場の動きについては、以下のレポートをご一読ください。 

 

 

集積回路 

ICのリードタイムは業界によって平均2830週間  

ほとんどの集積回路の標準的なリードタイムは、約2830週間です。サプライヤーのハイランナーリスト(人気品番リストにある部品のリードタイムは短縮される可能性がありますが、これはケースバイケースで全体的な状況によって異なります。また、過去数年間に渡っての製造業者によるコストアップにより、提示されたリードタイムによって、製造される製品価格がベンダーの在庫と比較して必ずしも低くなるとは限りません。  

製造業者の多くは、利益率が高い車載顧客を優先しています。その他業界、特に家庭用電化製品の需要は依然として軟調です。その結果、利幅の小さい部品のリードタイムは通常45週間と長く、納期は頻繁に遅延しています。  

 

Bluetoothコンポーネントの需要変動にRealtekは驚いている  

オーバーザトップおよびコントローラーアプリケーション用の特定のRealtekの部品は、特に韓国と日本の顧客からの注文が増加しています。昨年以来、過剰在庫を抱える多くのローカルサプライヤーは、在庫を低コストで売却できました。しかし、その後価格は通常のレベルに戻りました。   

需要は様々ですが、そのほとんどはRealtekシリーズの8761BTV、8762CKF、8762CMF、および8762DKに集中しています。注文量の増加は、Realtekが準備していた予測需要のほぼ2倍であったため、リードタイムは長くなる可能性があります。これ以前は、同社のリードタイムは712週間でした。 

 

STMがアロケーションの制限に苦戦する中、Broadcomは過剰供給を管理  

Broadcomは実際の最終需要に合わせて出荷しているため、8月時点では過剰在庫は重大な懸念ではないと主張しました。しかし、産業用、電気自動車、太陽光発電パネル業界の顧客からの市場需要の低下により、供給水準が上昇しています。   

AIは依然として最も注目を集めている業界であり、一部のBroadcomシリーズの価格が値上げされています。様々な用途向けに構成できる多用途スイッチはAIの顧客にとって主な焦点であり、PEX89104 およびPEX89144の需要が高まっています。  

その一方で、STMicroelectronics (STM) の需要は安定しており、かつ増加し続けています。車載MPNVNシリーズの受注量は衰える気配がなく、需要は一貫して増加傾向です。この業界では供給がまだ顧客のニーズを満たしていないため、E-LxxxxおよびLxxxxシリーズのモータードライバのアロケーションに制限が生じています。リードタイムは34週間に延びており、これらの部品の市場価格も急騰しています。 

 

 

 

中央処理装置 (CPU) 

噂の製品の発売日が近づく中、PCの需要状況は依然として様々 

最近、PC市場の取引が活発化しており、Intel10世代Comet Lakeシリーズ、特にCore i3i5に需要が集中しています。この関心の高まりは、Intelが生産能力を新世代CPURaptor Lake Refreshのサポートへとシフトし、在庫が低下したためです。この製品は、消費者向けにも企業向けにも適しており、第4四半期中に発売される予定です。 

一方で、第12世代Alder LakeRaptor Lakeの全体的なオープン市場での取引は依然として弱いと考えられています。供給が需要を急速に上回っているため、製造業者は在庫水準をめぐる懸念を表明し始めています。 

 

Intel、需要が変動する中、正規代理店向けにバンドル取引を開始 

正規代理店が、特定のIntelシリーズのデスクトップバンドル契約を獲得したと報告されています。第10世代Comet Lakeおよび第11世代 Rocket Lake CPUの割り当てに対して、販売代理店は第12世代Alder Lake CPUの注文を含めなければなりません。  

最も需要があるのは第10世代Comet Lake i3-10100、i5-10400およびi5-10500です。しかし、供給が限られているにもかかわらず、顧客はこれらの部品に高額を支払うことに消極的です。ラージコアCPUに焦点を当てた活動とは別に、IntelのスモールコアCPU、主にGemini Lake Refresh Jシリーズへの関心も高まっています。 

11世代Tiger LakeモバイルCPUのオープンマーケット価格が下がっています。このCPU6月に販売終了になりましたが、最近は需要と取引が鈍化しています。四半期末が近づくと、断続的に供給が行われたものの、最小限のスポット需要しかありませんでした。 

 

スポット需要を除くとサーバ市場の活動は第4四半期を通じて低水準にとどまる 

サーバのCPU需要は全般的に依然として軟調であり、ベンダーはこの状況が少なくとも第4四半期の終わりまで続くと予想しています。しかし、オープンマーケットの取引は活発ではないものの、顧客は最良のコスト削減の機会を求めているため、スポット需要が見られる分野もありました。  

AMDMilanおよびGenoaシリーズの人気は一貫しています。一方、Intelは特定のミディアムコアMPNおよびエントリーレベルのサーバおよびワークステーションCPUの需要と供給の不均衡に直面していると報告されています。これらの制限は、主にSaphire Rapids 64XX、E-2378GおよびE-2388Gに影響を与えています。ほとんどの注文の配送リードタイムは、依然として不確実です。 

 

 

 

ハードウェア 

ストレージ市場の回復が続く中、HDDのリードタイムとSSDの価格は上昇  

過去数四半期にわたって、Seagete、Western Digital、東芝などの様々な 製造業者HDDの減産を行ってきました。製造業者にもよりますが、リードタイムが少なくともさらに23週間延び始めており、減産は市場に影響を及ぼし始めています。 

以前は最も魅力的な価格設定を保っていたオープンマーケットの在庫が枯渇し始めており、製造業者は最終顧客の注文パターンを注意深く監視し、余剰在庫が市場に供給されるのを防いでいます。HDDの需要は横ばいですが、原材料と生産コストの上昇が7には製造業者に影響を及ぼしており、各社は需要がより持続可能になった時点で増産を計画しているため、価格は上昇し続けるだろうと報告されています。  

SSDベンダーは、SamsungSSDの発注が全シリーズにわたって保留中であることを報告しました。この動きは、5%から10%の価格上昇に備えたものでしょう。SSDの需要は、AIなどの業界からの需要によりここしばらく高まっている大容量の製品を除くと、比較的低調です。 

 

メモリ製造業者は見積もりを延期し、 追って通知があるまで出荷を保留  

メモリモジュールの価格が上昇するのではないかという憶測により、需要が急激に高まっています。製造業者は見積もりを延期し、追って通知があるまで出荷を保留していると伝えられており、これは価格調整が保留されている可能性を裏付けています。   

製造業者は、特にTier 1顧客からの需要が活発化していると見ているため、オープン市場価格は少なくとも2%3%上昇しています。オープン市場での価格が高騰しているため、ベンダーはすべてのメモリモジュールにわたって問い合わせが増えていると共有しています。  

 

NVIDIA、新製品発表の中で高まるGPU需要に苦戦  

NVIDIAAda Lovelaceアーキテクチャに基づいた最新の3つのワークステーションであるRTX GPUシリーズを発表しました。新製品のRTX 5000、RTX 4500、RTX 4000 ADAは、AI、グラフィックスおよびリアルタイムレンダリングにおいて最高の機能を提供します。  

全体的に、消費者向けのグラフィックカードの需要は、特にローエンドからミドルエンドのシリーズで低迷しています。RTX4090のようなハイエンドシリーズの供給は、主にGPUチップセットの割当てが不十分であることと、RTX4090ブロワーおよびターボシリーズの需要が高まっていることにより、依然として限定的です。NVIDIAは、AIおよび企業の顧客が代替製品に目を向けないように積極的に尽力しています。しかし、Nvidiaがブランドロイヤリティを維持することを推奨しているにもかかわらず、供給制限が続く場合は、代替品が顧客の唯一の選択肢になる可能性があります。  

米国が禁止リストを中東諸国にまで拡大したことがニュースで確認され、TeslaシリーズのGPUに対する需要も同様に高まっています。制限の拡大は供給に影響を及ぼし、オープン市場での価格設定を高くせざるを得ないでしょう。価格動向を見ると、価格は毎週3%5%上昇しています。  

 

大手ブランドが需要を満たすために苦戦する中、ネットワーク製品の競争が激化   

AIや大規模なクラウドサービスプロバイダが、光ケーブル、光トランシーバー、ネットワークスイッチおよびNICカードの需要を促進しているため、ネットワーク製品の購入は衰える気配がありません。200GBE、400GBE、800GBEなどのハイエンドシリーズの製品の供給は、注文の開始によって大きな影響を受けています。特定の製品のリードタイムは最大6ヶ月に延長され、最も需要の高い製品ではリードタイムが平均よりも最大1年長くなりました。  

リードタイムの長さのため、顧客はニーズをサポートできる同様の仕様を持つ代替ブランドを探しています。供給は少なくとも次の四半期まで限定された状況が続くと見込まれており、多くのブランドが市場の切迫した需要を満たそうと競い合っています。  

 

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