Global Electronic Component Supply Chain Resources

THE GREENSHEET 2022年3月号

作成者: Fusion Worldwide - JP|2022/03/23 2:54:33
 

IC

Vishay Intertechnologyの世界中の製造が混乱  

ロシアとウクライナの戦争によってウクライナ、中国、台湾にあるVishayの製造施設がさまざまな混乱の影響を被っています。

ウクライナでは製造工程に遅れが発生し、整流ダイオードなどを提供する同社のVS-10シリーズとVS-40シリーズに大きな影響が出ています。影響はこれだけにとどまらず、整流器やダイオードの供給全体を通して同社のサプライチェーンにも波及し、さらには台湾における稼働の遅延まで引き起こしています。

その一方で、同社のMOSFETの総生産数のおよそ50%を担っている中国に拠点を置く生産工場も、主に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)や労働力の不足によって生産能力の50%での稼働を余儀なくされ続け、 一部ではリードタイムが最長2年まで長期化しています。 

次に、ビシェイの車載部品やアクティブコンポーネント全体のリードタイムですが、これらに使用する抵抗器の市場での供給が引き締まっているため現時点で70週です。また、世界中の認定代理店や販売サイトなどは、同社が車載グレード抵抗器の受注確定を行っていないと説明しています。このような観点から、抵抗器を提供するシリーズでもっとも影響を受けるのは、リードタイムが不確実で納期もはっきりしないCRCWシリーズだと言えます。それ以外にも、WSLシリーズのリードタイムは現時点で99週、およびMMB、MMU、MMAシリーズは最長で87週です。 

 

TE Connectivity、混乱が複数の製造拠点に影響を及ぼすと判断

TE Connectivityの車載製品部門は、同社の欠品に関する問題の矢面に立たされています。リードタイムは現時点で40週ですが長期化する様相を呈しています。

ロシアとウクライナの戦争が東ヨーロッパでの製造に影響を及ぼしており、 それによって当該地域にある同社の工場における生産コンポーネント数もこの数週間で減少しています。 

他にも、同社が中国に構える生産工場は、2月の旧正月の期間中に稼働が制限されたため他地域の工場に比べて著しく制約を受けています。

 

エプソンが地域的な政府指令に起因する工場の遅延を顧客に通知 

エプソンは今年2月、蘇州で新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が拡大を続ける中で政府が講じた労働者の移動制限措置(封鎖措置)の影響により、 部品の構築に欠かせない水晶製品を生産している中国の蘇州工場における生産に影響があったことを顧客に通知しました。

現在、XIGシリーズのリードタイムは最長で130週まで長期化しています。


STMicroelectronicsのリードタイムが再び長期化

STMicroは、生産に必要な原材料の一部のリードタイムがさらに50週延びるなど原材料の不足による影響を引き続き被っており、 STM32F103xxシリーズおよびSTM32F4xxxシリーズにも影響が波及しています。

 

DRAMメモリの価格変動が続く

マイクロン社製品の価格は、3月およびそれ以降にDDR3やNAND型フラッシュメモリで8〜10%上昇すると予想されています。 

他にも、DRAMやeMMCといった製品の市場供給が依然として少ないため価格の変動が続き、価格が上昇する傾向にあります。調達できる数や納品などは発注時に付与される割り当てが順守されますが、多くの場合でメーカーは確定納期の確認を行っていません。 

 

 

メモリ

汚染問題から数か月のNAND型フラッシュメモリ市場が身構えるインパクト

ウエスタンデジタル(旧サンディスク)のフラッシュメモリボードは、今年1月に発覚した製造工程で使用されている材料の汚染に関する結果として、製品全体で価格の上昇とリードタイムの長期化が見られます。汚染問題が発覚した同社の工場2カ所は日本国内にあり、米国のウエスタンデジタルと日本のキオクシアが合弁事業として共同で運営しています。汚染問題の発覚から1か月後には通常稼働を回復しましたが、すっかり元通りというわけではありません。同社の本来の発表では、三次元NAND型フラッシュメモリの生産量が7エクサバイト減少としていましたが、21日間の工場の稼働停止という事実は含まれていませんでした。

この稼働停止による供給の減少により今後数ヶ月でNAND型フラッシュ製品が5~10%の価格上昇になると予想され、 リードタイムも2022年7月以降まで長期化するとみられています。

 

新世代DDR5の発売がRDIMM製品に影響を与える

最近の市場の需要として、メモリメーカーが新世代のDDR5を生産するために生産能力を2933MHzから3200MHzに移しているため、これに呼応して2933MHzモジュールの需要が高まっています。また、一部のベンダーは速度2933 RDIMMへの生産量の割り当てを減らすことを発表していますが、 大半のベンダーは楽観的に見ており、新世代のDDR5が発売されれば2022年第二または第三四半期の終わりまでにサーバー用メモリであるDIMMの需要が増えると見ています。それとは別に、過去の傾向や顧客からのフィードバックを根拠に判断すると、この期間はサーバー業界にとって繁忙期の1つであると言えます。 

 

 

ストレージ

インテルのSSDは当面の回復の兆し見えず

SK Hynixは、インテルのSSD事業を買収し、新ブランド「Solidigm(ソリダイム)」として発足させました。また両社は、SSD市場への混乱を限定的にするため2025年まで共同で生産を続けるとしています。

その一方で原材料の不足が発生し、 両社は物流コストとパーツ売上高の差を詰めるために材料を割り当てて解決を図ろうとしました。これは概して生産量を大容量SSDに割り当てることになるため、 結果的に小容量SSD(240 GB、480 GB、960 GB)が品薄になり供給がすぐに回復する目途もたっていません。

 

ウエスタンデジタル(WD)の三次元NAND型メモリの汚染問題がSSD市場に連鎖反応を起こす

WDの汚染問題は、損害の範囲を査定中だったこともあり、SSD製品全体での市場需要の急増を直ちに引き起こしたわけではありません。その一方で、NANDはSSDの主要コンポーネントであるため、価格の高騰が予想されています。

影響を被る可能性が高いSSDメーカーとして、WDの3次元NAND製品を使用している台湾企業のInnodiskとTranscendがあげられます。

これと前後して、パワーマネジメントICやコントローラチップの品薄もSSDの全体的な供給に圧力となり続けています。

 

法人向けハードドライブ(HDD)と小容量HDD、需要と供給のバランス保たれる

法人向けHDDは、全体的に需要と供給のバランスが保たれています。メーカーは、特に16TBおよび18TB HDDといった大容量(10TB以上)HDDに引き続き重点を置いています。

 

原材料の不足がHDD製造を襲い、価格の上昇を招く

シーゲイトとウエスタンデジタル(WD)の両社のハードドライブ生産は、原材料の不足と物流コストの上昇による影響を被っています。WDは第2四半期にHDDの5%値上げに踏み切ると見られていますが、 すでにシーゲイトはHDD製品の価格を3~4%引き上げを実施しています。

 

 

CPU

サプライチェーンの問題がAMDの組み込みCPUセグメントに影響を及ぼす

原材料の不足は、主に産業グレード周辺機器と防衛製品関連の顧客で構成されているAMDの組み込み製品部門に影響を与えています。 これにより組み込みCPUの価格が最大15%上昇し、リードタイムが最低でも30週以上に長期化しています。

 

インテルは、イーサネット・コントローラ・チップセットの需要と供給の問題に自ら対処

インテルのイーサネット・コントローラ・チップセットの供給は、2月の短期的な救済の後で再び厳しい制限が続いています。同社は、予約のリードタイムが概して1年以上あることに着目し特定の最終顧客を対象とした直接供給とサポートに取り組んでいるため、 仮に需要が続いても製品をオープンマーケットで調達できる可能性は乏しく、最終的には価格に影響を及ぼすこともあるでしょう。

 

 

GPU

Nvidia社、GPU全体での需要の不一致に直面

メーカーに影響を与える物流コストの増加によってGPUの生産と供給が減少していますが、 暗号通貨の価格の暴落とNvidia RTX30sの市場価格のわずかな下落によって需要も鈍化しているため、市場への大きな影響は一切ありません。 

そうは言うものの、NvidiaのTesla T4やQuadro P400、P620、P1000といった製品ライフサイクルが終了した法人向けGPUに対する需要が高まっています。これらの製品は、2021年第4四半期まで最終購入が可能でした。

 

 

完成品

メラノックス社のネットワークアダプタカードの供給不足が顧客離れにつながる

全体的に、メラノックス社の供給リードタイムは26週~32週ですが、MCX-6シリーズの価格は25%上昇しており、 MCX-6シリーズおよびMCX-5シリーズのどちらも供給不足が続くと予想されています。

メラノックス社のネットワークアダプタカードの供給量が全面的に限られている状況の中で、顧客は供給の不確実性によるリスクを最小限に抑えようとインテルやブロードコムで代替製品を探し始めています。

 

Raspberry Pi(ラズベリーパイ)の需要が高まる

Raspberry Pi製品であるRPI3B+、RPI3-MODBP、CM3+ 16GB/32GBには教育分野や製造分野での高い需要があります。しかし、ブロードコムのチップ不足に起因するRaspberry Pi製品のICゲートに関した問題が発生しており、 需要の高まりに比例して製品の構築を完了することも難しくなっています。ブロードコムは、Raspberry Pi製品向けに特別に作られた部品を設計しましたが、現時点でのリードタイムは1〜2年です。