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2022/07/12 11:46:13
 

CPU

インテルのSapphire Rapid CPUのリリースが再び遅延

インテルのSapphire Rapid CPUのリリースは、2023年度第2四半期まで延期されることになりました。前回の報告では、Sapphire Rapid CPUは、2022年後半までリリースが先送りされるということでしたが、サプライチェーンに継続して生じている種々の障害により、再び遅延されることになりました。今回の報告どおりであれば、Sapphire RapidおよびEmerald RapidシリーズのCPUは、双方とも2023年にリリースされることになります。インテルが進めている最新シリーズ全般にわたる生産サポートへのシフトは、顧客にとって、今後2~3年以内にCascade LakeおよびCascade Lake (R)が利用できなくなる前に、それらから移行する必要が生じるということを意味することになるでしょう。Sapphire Rapidへの切り替えを念頭に置いてIce Lakeシリーズへの移行を既に済ませている顧客は、Sapphire Rapidがリリースされるまで、予定よりも長く、引き続き現在のCPUシリーズを使用する必要があります。

この遅延による短期的な懸念は、インテルがIce Lakeシリーズへのサポート体制を弱めている中で、多くの顧客がIce Lakeシリーズの市場になだれ込み、需給バランスが逼迫するという点です。これにより最終的には、リードタイムと、パーツの割増価格設定を反映したブッキングの上昇を招くことが考えられます。

 

出荷の遅延により、インテルのイーサネット・コントローラーの状況全般に大きな受注残をもたらす可能性

インテルのイーサネット・コントローラーおよびチップセット製品の市場は、 2023年まで一貫性を欠いた供給状況が続くことが予測されます。この供給のばらつきの原因は、ひとえにインテルの出荷遅延によるものであり、大きな受注残をもたらします。月ごとに変動する需要も、受注残と価格の上昇を促す要因です。しかしながら、インテルのイーサネット・コントローラー XL710-BM1の出荷量が7月中旬から増加することに加え、高い人気を誇るイーサネット・コネクション I219-LM(WGI219LM)全般にわたるサポートも改善が予測されています。これは短期的な救済をもたらすものの、一貫性を欠いた現在の供給状況が近いうちに改善される見込みはありません。

 

 

メモリ

メモリモジュールの受給アンバランスが製品価格に影響

メモリモジュールの価格設定は引き続き下降傾向を示しており、RDIMM(サーバー)の価格は3~5%、UDIMM(PC)の価格は5~10%、それぞれ値下がりしています。メモリモジュール市場は現在、供給過剰の状態にあります。ほとんどのPCブランドが第3・第4四半期に向けて減産を行っているため、多くのベンダーは、PC用モジュールの需要は下降傾向にあると指摘しています。

 

値下がり傾向を示すDDR5の価格

DDR5モジュールをめぐるオープンマーケット価格は、3か月前に比べて劇的な低下を見せています。DDR5モジュールの在庫数量は、ベンダーが割り当て分を受領していることから改善してきており、とりわけPC用DIMMで顕著です。これによって価格は、少なくとも5~8%低下しました。

加えて、DDR5モジュール対応のCPUについても、第3四半期には供給に余裕が出てきます。しかしならが、DDR5の導入に向けた移行期間は、2023年の早期まで継続するでしょう。

 

 

完成品

Nvidiaのアダプターカードの供給不足は第4四半期も継続

Nvidiaのイーサネットアダプターカードの供給状況は、電子部品産業がコロナ禍によって直面したサプライチェーンの数多くの大問題に端を発して、2021年から滞りを見せています。それ以降、各メーカーは需給ギャップの解消に努めており、供給の増加局面は散発的ながらも起こっています。しかし、リードタイムは依然として高止まりしており、現在は平均で32週間となっています。中でもMCX-6シリーズは、材料不足のあおりとNvidiaの供給ライン全般における生産性の低下によって、影響を受けています。サプライチェーンにおいて継続するこれら諸課題への対応策として、Nvidiaは全ての光学・ネットワーク製品について15%の値上げを発表し、6月中旬から実施しています。消費者の購入動向は月ごとに変化するため、供給力と可用性の変動が短期で落ち着くことは想定できない状況です。

 

Intelの完成品価格が部品とチップセットのコスト増により上昇

Intelは、部品とチップセットのコスト上昇に伴い、さまざまなイーサネット・カードシリーズについて、20~30%の値上げを行いました。具体的には、10 GbEおよびそれ未満のモデルでは20%、25 GbEのモデルでは最大30%の価格上昇となっています。上級モデルではコストの上昇はそれほど見られないものの、供給が逼迫しているため、100 GbEおよびそれ以上のモデルでは配分ベースの流通となっています。

インテルのI350T2V2とI350T4V2の低速モデルへの消費者需要は、依然として高止まりしています。しかし、これらカードの製造に欠かせないイーサネットチップセットと他のボードレベルコンポーネントの供給不足が、完成品の可用性に影響を及ぼしています。

 

 

GPU

クリプト分野の減衰によりNvidiaが新しいGPUカードの発売を先送り

ここ数週間、GPUの価格は全体的に低下を続けています。主な原因は、仮想通貨価格の下落とマイニング需要の落ち込みです。クリプト分野におけるこの変化に加え、Nvidiaの幅広いパーツに数か月連続で生じている供給過剰と価格変動が、最新グラフィックカードの投入遅延に反映されています。GeForce GTX 1630は当初、5月中または6月中旬にリリースされると発表されていましたが、6月28日に盛り上がりを欠いた市場投入がなされました。

同様の状況下で、Nvidia GeForce RTX 40シリーズも、当初8月に予定されていた発売開始が先送りされるという観測が広まっています。このシリーズは、Nvidiaのサプライチェーンに生じている厳しい状況がGTX 1630に与えたように、RTX 40にも影響を及ぼさない限り、現時点では9月にリリースされるものと予想されます。慢性的な材料・人材の不足への対応に苦慮する中、このような状況は、メーカーの製品ロードマップとリリース日で、より常態化する傾向を見せています。

 

インテルは、中国で観測的発売を皮切りにGPU分野に参入

インテル初となるディスクリートGPUのArcシリーズが、中国で入手可能になりました。長年にわたってインテルは、2Dおよび3Dアクセラレーションを自社のチップセットに組み込んできましたが、これまで、よりパワフルなディスクリートGPUカードを投入してきたAMDとNvidiaが市場を制してきました。2018年にインテルは、独自のディスクリートGPUを提供し、2020年中に出荷を開始すると発表していました。しかし、インテルは独自のGPUの取り組みにおいて、2021年までArcブランドを発表しませんでした。2021年の発表では、デスクトップとノートブックパソコン向けのディスクリートグラフィックスチップの発売を2022年第1四半期に行うことを約束しています。 

 

 

ストレージ

高い需要に対して供給不足が続くインテルのSATA SSD 

インテルのSATA SSDは品薄状態にありますが、第3四半期を全体を通じて引き続き逼迫することが予測されています。これら製品への高い需要が続く中、エンドユーザーは8月の納品が叶わなくなりつつあることを認識しています。加えてS4510 240 GBシリーズは、2022年第3四半期に生産終了となるため、顧客はさらに頭を痛めています。さらに、代替となるシリーズ(S4520)も供給不足に陥っています。インテルの小容量SSD製品 全体に対して強い需要を有するこれらの顧客は、インテルのサプライチェーン運営に影響をもたらす品不足が続く中、少しも安心できない状態です。

 

需要が高い小容量SATA SSD製品シリーズは以下のとおりです。

S4510 240 GB/480 GB/960 GB

S4610 420 GB/480 GB/960 GB

 

インテルはまた、P4510 1TBおよび2TB SSDの生産終了を顧客に通知しました。つまり、これら製品の大量生産は終わりを迎えることになります。

 

 

IC

メーカーは、さまざまな産業セクターにおけるMLCCアプリケーションの需要増加を認識

MLCCパーツについては、5Gアプリケーションの増加により、これまで主として需要を支えてきたのは電気通信セクターでした。しかし、従来の内燃型自動車および電気自動車双方の生産増加により、異なる産業セクター間でMLCCパーツをめぐる競争が激化しています。メーカー各社は現在、急激な供給の高まりがもたらす需給アンバランスを経験しています。

 

Nexperia製品のリードタイムの問題は2022年以降も継続

Nexperiaは、生産能力のほとんどを自動車産業セクター全体に投入し、その需要に応えています。需要のシフトに対応しながらも、Nexperiaは前四半期から生じているサプライチェーン全般の受注残を緩和するには至っていません。そのため、引き続き各種シリーズ製品のリードタイムが長くなっています。Nexperiaの高速仕様、低速仕様、およびシングルゲートの製品リードタイムは現在54週間で、SOT353/SOT363/TSSOP/DFNシリーズの業務は配分ベースで行われています。さらに、産業用MCUシリーズのリードタイムは、依然として5278週間のままとなっています。需要の現状と製品サポートにより、7月には1025%の値上げが予定されています。

 

STマイクロエレクトロニクスが製品ポートフォリオを拡充

STマイクロエレクトロニクスのマイクロコントローラー(MCU)に対する需要は、近い将来、弱まる兆しは見られません。この状況を受け、STマイクロエレクトロニクスは、ポートフォリオの拡充を計画しています。音声認識テクノロジーのプロバイダーであるSensory Inc.との業務提携の発表に引き続き、STマイクロエレクトロニクスは、さまざまな音声制御技術においてSTM32アプリケーションの応用に投資する計画です。しかしこの発表は、引き続き需給状況に対するサポートの課題がある中で行われています。

例えば、STマイクロエレクトロニクスが他のMCUをサポートするために生産能力を削減する中、STM8ビットMCUの標準リードタイムが2022年第4四半期に改善することは期待できません。STマイクロエレクトロニクスはその後、いくつかの8ビット製品を対象に生産終了を発表しています。これは、STMが自動車向け製品およびスマートな組込製品のサポートに軸足を移す動きの一環です。

 

ブロードコムの大半の注文に対する納入期日が2023年に延期

ブロードコムは、引き続き供給問題の対応に追われています。その中で同社は、繰り返されるCOVID-19によるシャットダウンと継続中の材料不足を余儀なくされています。リードタイムは不安定なままであるものの、中国本土を拠点とする海外の顧客は時間通りに出荷品を受領していると報告しています。ただしそれ以外の顧客については、推定納品期日が2023年に延期されています。

中でもブロードコムの自動車および産業向け製品は、同社の供給の停滞から特に大きな影響を受けています。

 

インフィニオンのMOSFETは、増産により第3四半期に若干の余裕

インフィニオンの増産努力は、MOSFET製品に対する需要の弱まりと相まって、高需要と最低レベルの供給というこれまでのアンバランスを修正し、顧客に一定の余裕をもたらしています。しかしながら、全てのシリーズがこのような状況にあるわけではありません。

産業用パーツは依然として引き合いが強く、IRFxxxおよびIPDxxxは品不足が継続しています。

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